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ヘニガー邸にお別れを言ってから
私は少しゆううつである
それは何故か?考えてみた・・
たぶん
それは全ての場所に設計者の意図があり職人の技がありひとつとして考えずには場がなりたたないことに今更ながら衝撃を受けたからだ。
85年の年月。修繕の繰り返されたあと、生活のかおり
大正時代のベット。細い金属で出来た格子にはハートと天使の細工がされている。
そしてそれは小屋ウラに登った時に最高潮となり、感無量の気持ちさえした。
白い壁に残る落書きはいつの時代のものか・・・
何語ともわからない微妙な模様にも見えた。
日本語で階段の「二段目危ない」と書いてあった。子供らしい絵が横に添えられていた。
見た目は地味な洋館で今の時代からすれば使いにくい家である。
だけれど、設計したヴォーリスのこだわり、それから激しく移り変わった時代。生活の中で使い込まれた家具や建具やスイッチ。
家をつくり、そこに住まい、暮らしていくことは
それぞれの思いと時を内包していくものだと感慨深かった。
もう少し時間をかけて解きほぐしていきたい。