studio-aulaの日記

長野県松本市、塩尻市、安曇野市などで活動する一級建築士事務所です。

日本の色

studio-aula2006-12-18

松本地方はうっすらと白い雪景色だ。
いよいよ本格的な冬になった。おー寒い!
空は晴れて青くなりコントラストがきれいだ。
しかしここで気持ちが沈んでばかりいられない。

先日、桂離宮を調べてみた時にこの襖の色がとても気になった。
写真にある桂離宮の松琴亭の中で一の間と二の間の境にあるふすまが白とはなだ色の加賀奉書の市松張りである。明るくて清楚なデザインで内部空間にはもちろん外部にも山居の洒落たデザインを示している。

でもこのはなだ色というのが今でいう水色に近い色なのだが色名を言われてもなかなかピンと来ない。
しかし青と白の組み合わせは実は古代から存在する数少ない色使いだ。古くは天の岩屋の神話の中でも青和幣(あおにぎて)と白和幣を賢木の枝にとりつけたというように青と白というセットはハレの場所に出てくるようだ。

日本の色の中には芥子色(からしいろ)とか藍色みたいに今もおなじみの色もあるけど起源が結構古い色だとなかなか色名だけ聞いてもピンと来ないことの方が多い。

例えば青一色にしても江戸時代には青本というと実は黄色のことを言っていた説もあり、実は青は黄色みが入った青だったり濃紺だったりかなり範囲の広く、実は強くない色は全部青で表していたという跡もあるみたいだ。黒から黄色そして濃紺までまるっと含めて・・それに青は例えば青侍とか今なら青二才など時間軸も空間も含めたとても便利で範囲の広い言葉だし色だったようだ。

桂離宮の襖の青はこのしっとりとした空間を華やかにただ一色で演出している。庭から眺めると一段と意味が読みとれる。松琴亭で緑がめぐらされているのは一の間の北西だけなのだがここに水屋が配置され池の水を望んだ時の添景として趣を添えている。
そしてここでの松のあり方はこのふすまを隠さず添景として茶室をきわだたせているように見えた。

※写真は桂離宮 新建築社より(自己撮影写真は使用できない)