studio-aulaの日記

長野県松本市、塩尻市、安曇野市などで活動する一級建築士事務所です。

アレックス・カーに教えてもらったこと。

今日はな〜んとアレックス・カーとヘニガー邸を見学しました。それで何がっていう事ではないいんだけどアレックスは(ごめんチャイ。そう呼んでいいとイワレタ)広い視点からこの地区のあり方とかこの家の使い道などを語ってくれた。
自分でもびっくりな展開です。
ひょんな事から松本大学で講演会に来る事になっていたので急遽突撃して来ました。
彼の日本での滞在歴は長く茅葺き屋根の民家を購入し屋根の葺替えを完成させ田舎の復活活動を行なったり最近では京都に「庵」いおりという株式会社を創立し京町家の保存とその利用を目指して活動をしている・・・のだ。これが彼のHP(英語)
http://www.alex-kerr.com/

彼の執筆した物を見てみると環境活動家としての側面を想像してしまうけど、日本社会の現実を長い間見てきたためか極めて現実的なコストや採算性という視点からその場所を捉えてくるのだ。
いかんせんあまりにも保存・活用を言い過ぎるとそこまで考えきれないで感情論になってしまいがちだけどもビジネスあっての保存・活用なんだと再認識させられた。
国民総出でここまで国土の自然破壊をしてから小さな自然を守ろうって思うのはもっと大きな視点からモノを見ている彼にとっては甘いモノなのかもしれないね。
というより1973年から徳島県の山村の茅葺き屋根の民家に住み1984年に茅を葺き替えたがそこに残る小さな流れさえも予算消化の名目でコンクリートの川に変わるのをいろり端で目のあたりにしていた時、彼がどれほど辛かったのか、彼がどれほど日本に失望したのか想像するだけで胸が苦しくなってくる。

きれい事は言わない。しかし1997年、もう日本は無理だといい残して一端日本を去り、バンコクにもうひとつの拠点を構えた時、彼の中でこの日本というシステムをやっとの思いで消化していったんだろう。
現在は主にバンコクと京都を拠点にしながら文化活動を続けている彼に出逢えた事はわたしにとって大きな意味がある出来事だった。日本を愛することとは何か?崩壊した国の中に住み続ける意味とはなにか?私たち一人一人が考えながら生きて行かなければならない。
PSヘリガー邸に大きな屋根裏部屋があってそれに上がっていった時「小さい頃育った家にはこんな風な屋根裏部屋がついていたんだ」って言っていたのはなんだか可愛らしかった。