studio-aulaの日記

長野県松本市、塩尻市、安曇野市などで活動する一級建築士事務所です。

小野家見学会

長野県建築士会の活動で塩尻市の国の重要文化財で行われている大規模な民家再生工事中、小野家2回目の見学会に行って来ました。

2010年に行われた1回目の見学では解体した骨組みを見る事が出来ましたが今日の見学会では垂直、水平が真っ直ぐに補正された躯体と耐震補強など骨組みを見学、見えなくなる場所に鉄骨柱や鉄板とブレース(筋交)小屋組に水平剛性を確保するための水平木板張り等、重文でも耐震補強は震度6の揺れに耐える様な耐震設計がされている部分を見学出来ました。

伝統工法の木組みでは、鉄骨補強は邪道と言われる方もあるそうですが、何より壊れない事を優先させたそうです。やはり人命尊重のその考え方は非常に大切だと思いますよね。

それから外観、今の外観は中山道にある(例えば奈良井宿)宿の様に破風も垂木(庇裏)も現しで素朴な千本格子と木壁といった風情ですが実は漆喰で塗りこまれたやや豪華絢爛な外観が建築当時の姿という事が残る資料や木材跡から解り、その形に復元されるようです。
既に葺き終わった屋根は棟瓦が透けていて鬼瓦も工夫の施された形、意匠的にも美しく当時としては異例の豪華さ(木曽路の辺りでは木屋根に石置が一般的な時代)の建物という事も介間見れました。
市の担当の方も再生されお披露目のあかつきには市民の方々から「豪華すぎるよ、こら!」との苦情が殺到するのでは?と危惧されるほどです。決してその部分予算をかけて頑張ってしまったわけではゴザイマセン。との事、お察し致します(笑)
竣工するまでまだまだ時間がかかりますが、晴れて竣工した芸術と文化の融合した旅籠に出逢える、その時を楽しみにしています。