studio-aulaの日記

長野県松本市、塩尻市、安曇野市などで活動する一級建築士事務所です。

スキップフロアの効能

ふとしたことから建築医学協会という団体があることを知りました。

ユニバーサルデザインが推奨され住宅の中で小さな段差をつけることを否なることであるとされて15年以上が経過しました。私が住宅設計の仕事を始めた頃は和室への入り口は畳との段差がありそれは和と洋を分ける境界線のように意識されていました。

トイレの段差にしても同じ意味合いと匂いや汚れ防止の機能的なこともあって敷居をつけず同じ素材でトイレの床を造ることを受け入れてもらえない時期があり今にしてみれば本当に不思議なことかもしれないですけど当時日本人の意識はそういうことでした。

あれから十数年経過して現在のように家の中には小さな段差をつけないことが「常識的」となるとそれに伴い家の中では変化に対応出来る空間体験ができないということにもなってきます。

年齢が高くなり介護が必要な時期にはもちろん段差は障害になり不自由がありますが、子育ての段階ではむしろ足元の刺激とそして第3の脳 ( 中脳 ) の刺激体験の為に必要であるということでした。
「建築医学協会」ではこの中脳の刺激体験の為にスキップフロアを造ることをお奨めするという記述がされていました。

全ての住宅にスキップフロアが良いということではありませんが、空間を構成する上で有効な手段であり、そして何より住む人が様々な空間体験を望み、それに柔軟に適応し楽しむことが出来れば家の中に床面の変化(小さな段差ではなく)があることはむしろ好ましいことです。

反対に家の中が全てクロスで同じ構成、そして空間に全く変化がないとしたら、住んでいく過程で絵画や照明などを有効に使い壁や床に変化をつけることはとても大切なことでもあります。「健康促進住宅」と聞くとともすれば「健康素材」「高断熱・気密住宅」そして住宅の中を一様にそして無難に。と捉えられがちですが突き詰めて考えていく必要があり一様にはいかないことなのです。


    

施工中の懐かしい写真 双子くんまだ小さい!3歳でした。写真を見比べてみると随分合板の色も木材の色も変化してきました。もちろん双子くんも随分変わりました。
この時は本当に色々な方にお世話になり今も感謝しています。