studio-aulaの日記

長野県松本市、塩尻市、安曇野市などで活動する一級建築士事務所です。

日曜日の午後は久しぶりの晴天だから安曇野でつかの間のお休みを楽しんだ。
日曜日だけど現場に来てくれた建設会社のN部長は「普段は雨だって言うのに・・今日だけ晴れだよ〜」と少しだけ休日出勤を嘆いていた。
そう言われて初めて久しぶりの良い天気の日曜日だってことに気がついたわたしたちなのでした。

昨年の春、初めてこの「ねこパン」の予定地を訪れたときなんて素朴な風景が綺麗なんだろうとしみじみ感じたものだ。そして同じ季節が巡って来て再び私たちの考えた計画がこの風景を少しだけ変えてしまうことについて話をしていた。

なるべく低く建物の高さを抑え、屋根の棟も山並みを考慮して少し北寄りに計画し南側道路からの視界の妨げを小さくするように考えている。
時間があって更に良かったねと二人で話をした。


内藤廣氏設計の安曇野ちひろ美術館
この位置から眺めると建築が山並みの起伏を捉えて呼応しあっている。
景観に配慮した建築とはその場所性の中で少しずつそのあり方が違ってくるもの。

松本市の景観賞の選出の講評の中でも古いものを受け継ぐだけでなく現代、そしてその場所にあった新しい景観のとらえ方が必要との話も聞いた。
蔵が一番良い場所もあるだろうがしかし蔵のテーマパークにしてもならない。
それが生きてこそ建築なのだ。
新興住宅地にもしも意図的に蔵群が建ったら正直言ってかなり不気味だ。。嫌みにみえる。



数年ぶりに安曇野の食卓に行ってみた。お休みなので建物の外観だけでもと思った。
かれこれ10年ぶりに見る建築に古さは無く地面に沿ったテラスと中二階に浮くテラスがシャリーンと尖る三角に集約されてその考えと試行錯誤がまだまだ光ってみえた。

しかし、そこにたどり着くまでの砂利道は土地所有者の明らかな妨害があり普通車で通るにも難しい道となっていた。

何があったのか解らない。
けれど何かのすれ違いから生じた気持ちは景観問題にも通じる。それは小さなことの積み重ねなのかもしれない。建築が出来、人の往来が出来ると環境が変わる。
その事を一時も忘れてはならないのだと感じた安曇野の出来事でした。