studio-aulaの日記

長野県松本市、塩尻市、安曇野市などで活動する一級建築士事務所です。

伊那谷 森林について

長野県は南北に長いために松本市からどこかにお出かけするとなると移動で片道2時間は掛かると思っている私ですが、その道行きも色々な景色を楽しめて満足する時間でもある。今日は駒ヶ岳伊那谷の美しさにうっとりしてしまった。

信州大学農学部を退官される伊藤教授の退官記念講演を聴きに行ってきました。信州大学に赴任されてから37年間の研究の足取りを非常にわかりやすく(学者らしく系統立てて)お話ししてくれた。
「森林・風致・造園」研究の軌跡。先生が森林と人との関係を常に研究する中での風景の知覚や森林空間と建築空間と空間性の違いなどわかりやすく話してくれたので空間認識を語る上で非常に聞き応えのある講演だった。

それから先生は森が好きでその背中に森の精さえ背負っている様に一瞬感じた。物静かでまっすぐな謙虚さを陰ながら尊敬している。

森の妖精がついている・・ステキなおとこ(先生許してくだはい)

その後、久しぶりに有賀建具さんに逢うために工房にお邪魔した。有賀さんは日本の木で家具や建具を作っているが値段は安く仕事は早く正確だ。そして捨てられそうな樹木が有れば日本全国買い付けに行く・・

例えばこの大きな樹木は少し割れとかカビが有るばっかりに紙・かみですよ。あの鼻を噛んだりするかみ;;(木片チップ)になる運命だった物を有賀さんに引き取られた。ここで5年ほど乾燥してから、お茶の間の机になったり、キッチンや建具なんかになってずっと大切に使ってもらうことになる。
有賀さんとお話ししていると樹木は生き物だという認識が生まれていく。それは日本人には当たり前の事だったはずなのだが最近は樹木は粗末に扱われすぎている。「これはダムに沈んだ家の庭に植えられていたトネリコでね〜。」大きく切断された木片を見せられる。本当にいのちを感じたりする。

一瞬その情景を思い出し本当にいとおしくなる・・

有賀さんが助けてあげた木材
今日は良いおやじ(ステキな)二人にお会いでき本当に幸せな日だった。ほろろ・・使命を持って何かを成そうとしている二人、フィールドは違うが伝道師のように暖かい〜。