蓮の花
ほらほら。これが平等院の蓮の花・・
ハスはあらゆる花のなかで最高のものといえる。通常、よどんだ暗い水の上に開花するハスは官能的でも有り、毅然として完璧なので未分化の広大な原始の水の上にあらわれた最初の生命のしるしとしてみることもできる、
ジャン・シュベリエ「世界シンボル大辞典」より
三十本のスポークが一つのこしきにあつまり、
こしきの空洞があってこそ、
車としての働きが生まれる。
泥土をこねて器をつくり、
器の中の空間があってこそ、
器としての働きが生まれる。
戸口や窓をうがって部屋をつくり、
戸口や窓や四方の壁に囲まれた空間があってこそ、
部屋としての働きが生まれる。
それゆえ
「有」が人に与える便利さは、
まったく「無」が決定的な働きをするからだ。
中心の無い文化のなかに私たちはいるけれど、いつもハスの花のように自分の中心を失わないようにしたいと思うのだ。
仏教的に言えば蓮の花は清水の中では枯れてしまう。
泥水の中でこそ美しい花を開く・・
人間も同じではないかと教えてくれる。