studio-aulaの日記

長野県松本市、塩尻市、安曇野市などで活動する一級建築士事務所です。

松本に戻り建具やさんへ木曽アルテックに製作してもらった豊丘村の「ISOUする家」のフスマを届けました。漆を春慶塗り風に仕上げたフスマはしっとり落ち着いたリビングのポイントになります。

外まわりの大工工事中です。竣工まであと10日となりました。

こののどかな風景が残る長野県の南の村。豊丘村で戦争中に悲しい出来事があったことを私は知りませんでした。昨日テレビ番組を見るように施主さんに勧められて初めて第二次大戦中の満州開拓団が身近な出来事だったと知りました。

私たちと縁があって依頼してくれたお祖父さんお祖母さんが番組内で戦時中から戦後の苦労を語っていました。普段は優しく強い家族には辛い戦争体験があり本当の歴史の重さを教えていただきました。満州開拓団へは長野県から全国一大勢の人が駆り出されましたがとりわけ豊丘村の開拓団は村の農道を造る身代わりに終戦近くになって満州へと移り住むことになりました。

そして終戦を迎えた遠い地で殆どの方が亡くなり私たちの関わるご家族も例外では無くあまりに悲惨な結末に涙がとまりませんでした。その出来事はまるで閉ざされた箱の中の出来事のように同じ長野県人なのに知るすべが無かったことが不思議でさえありました。

しかしその出来事を私たちは忘れてはならないと知りました。

3世代の家族が暮らすISOUする家はたくさんの思いが詰まった家でもあります。家族の歴史に触れて住宅を共につくりあげる使命感に一段と身が引き締まる思いと同時に今日の平和があることをお祖父さんお祖母さんに感謝したいと思います。