studio-aulaの日記

長野県松本市、塩尻市、安曇野市などで活動する一級建築士事務所です。

電気工事も終了に近づきました。

職人さんは腕が良いのがそれは一番なのですが、少し不器用でも何故か憎めない人もいるもので、いつもの電気屋さんは多忙すぎて少し工事も遅れがちで・・でもクセになる味のある人物です。
なんだか電気屋さんの顔を思い出し楽しくなるので↓電気屋さんが描いた絵を残すことにしました。・・真っ当な不器用さで私たちを和ませてくれる。

途中は、いつもはらはらしますが最後は丁寧に仕上げていくのでなかなか離れられない電気屋さんです。パテ処理をすると消えてしまう絵ですが、時々電気屋さんはこうした絵を描いてゆきます。(もちろん私たちの事務所なので特別に絵を残しました)周りの壁を見ると「ここはあの人の塗ってくれた場所。そしてここはあの子達が・・」と心が温かさでいっぱいになります。

この場所・・塩尻市は都市計画地域が狭いこともあり土地を探すのは難しく、病気だった父の近くにと急遽みつけた場所でした。希望が全て満たされていたわけでは無く予算も厳しいのでわがままを言って面積を少し減らし50坪ちょうどにしてもらいました。混沌とした場所、そして元は店舗、そしてここは6区画キレイに区画されて売り出されて・・・・・・・かなり迷っていました。

しかし2階の窓からの視線で外を見渡すと、この周辺をグランドラインから見たときの雑然とした風景とはまるで違う世界が広がっていました。住居専用地域ですから周辺には高層化した建物もなく視界が広く開け、意外なほど多く存在する周辺の緑に驚かされます。


人の視線で見た時・・・imagine 「昭和には店舗と駐車場があった」

鳥の視線を想像してみると・・・imagine 「江戸時代は郷原街道。旅の風景が」

もしもここで私たちが緑を増やし家の周辺を囲むことが出来たら郷原街道に伝統的に続く緑の生け垣と庭木が連続していくきっかけとなるのではないかと考えるようになりました。
グランドラインから眺める風景、そして鳥の視線で眺める風景は明らかに違うこと。そして大型施設の駐車場という郊外にありがちな大きなスケールで阻まれた自然は家の中にZ軸の動きをヒューマンスケールで加えることによって新たな風景を創りだすことで塩尻市など郊外の住宅地に残された自然を生活に取り入れるような現代の自然観にも繋がるように思います。

窓からのぞく風景はひとつの絵であり道具でありそして都度違う自然と都市を見せてくれる。窓によって切り取られる「絵」の大切さを今更ながら考えています。