全てを超えて
桂離宮は寛容だった。手入れしている管理者の人、掃除のおばちゃんらの愛情を一心に受け、出来る限りの力でその可能性を美しさに変えて表現していた。
場を包み込み力強くそしてあるべき所にある
その姿からわたしたち人間の世界があまりにも小さいことにとらわれている愚かさをきづかされる。
ふっっと涙がこぼれた。
桂離宮では落ち葉を熊手で集めひたすらほうきで掃いた。
ここで出逢った青年は
「東京で松本の某所のマンションの基本設計をした」と
言った。
世の中って何処かで繋がっていて、みんな夢を持って仕事して
何が良くて何が悪いのか
解らなくなるけど
守りたいものは心に持っている。
それから優しい青年だった。
ただ、ただその偶然に驚くだけでも
お互いに何かを感じただろう。
出逢いの瞬間は本当に一瞬で
でも意味のある、ひたすらうつむくしかない時間ではあったが。